マイクロバブル核融合の思考実験 ・・・・・・ 核融合さえ起こすバブルの力
常温核融合・元素転換の成功例では、 T 水素タイプ、 U 重水素タイプ の2種類が挙げられます。
溶液中の気泡が自己圧で潰れる時の”ホットスポット”状態で、特殊な化学反応(ラジカル反応)や核反応が起こることが報告されています。ここでは、特に、「オオマサガス」について、そのメカニズムと応用の可能性について思考実験してみたいと思います。
1. 常温核融合の実例パターン:
T 水素タイプ:
@ オオマサガス発生器における 放射性セシウムの低減: ( → 酸水素ガス(オオマサガス) )
オオマサガス発生器、すなわち、振動攪拌電解装置において、東電の汚染水に含まれる放射性セシウム(137Cs: β−崩壊、1.174MeV、半減期 30.17年、137Ba(安定) になる)の約半分が、安定なバリウム(138Ba)に転換されることが、2012年11月に高尾征冶博士(九大)によって報告されました。 → ワールドフォーラム未来塾・11/3 (バリウム138よりも大きいものは バリウムとして存在できない)
* 真空から自然対生成するニュートリノは きわめて反応性に乏しく、この反応では無視してよいと思われます。
A (予想される)カリウム・イオン溶液の電解における反応: ・・・ メインの反応
@の反応をふまえて、炭酸カリウム等の電解質水溶液の、チタン電極による電解で、起こると予想される核融合反応。オオマサガス発生器において このカリウム塩溶液を用いるならば、同様に起こりうると考えられます。メインの反応は、マイクロバブル消滅に伴うラジカル反応による 水素原子、酸素原子の 2:1のクラスター化ですが、その駆動力や
エネルギーを蓄える機構(結果的に、加えた電解エネルギーの5倍ものエネルギーとなる)が
核融合によるものであると思われます。電気的に陽性のアルカリ金属イオンは 負に帯電した水素ガス・バブルの界面に優先的に引き付けられ、プロトンと共に一点に押し込められて
反応すると思われます。(Li → Be、 Na → Mg、 K → Ca、 Rb
→ Sr、 Cs → Ba)
(cf. 下の( )の反応は、自然に含まれる放射性カリウム 40Kの崩壊)
U 重水素タイプ:
@ いわゆる常温核融合としてよく知られた反応: ( → 常温核融合の技術開発の展望 )
荒田名誉教授(阪大)、水野教授(北大)、フライシュマン-ポンズ等の、いわゆる
重水素の常温核融合としてよく知られている反応です。荒田氏は、多孔質ジルコニアを担体としたパラジウム触媒を通して、重水素ガスの核融合による余剰熱測定の実験に成功し、再現性も良いです。(2009年5月) これは、パラジウム金属内で重水素バブルが消滅する際の局所的な超高温、超高圧状態によって起こると考えられます。ただし、できたヘリウムをいかに触媒から除くか、また、触媒が局所的な発熱で溶融して通気性が無くなる問題点が課題となっています。発生するガンマ線は、周囲のステンレス容器によってほぼ完全に遮蔽されるそうです。(γ線エネルギーは
特許内の数値による)
A 三菱・重水素ガスのパラジウム多層膜透過実験: ( → 三菱データ 2005年)
三菱重工・岩村氏他による実験論文から、驚くべき元素転換の実験です。多層パラジウム薄膜に
セシウム、ストロンチウムをドーピングして、重水素ガスを通過させると、常温で、セシウムは120時間で
プラセオジムに(表面から100Åまででは反応が完結している。100%の再現率)、ストロンチウムは300〜400時間でモリブデン(量子数96のみ)に、それぞれ転換しました。下は考えられるメインの反応です。
これも、パラジウム内の重水素バブル効果と考えられます。きれいに4つの重水素が同時に反応することは、パラジウムの結晶構造と関係があるかもしれません。
B バブル核融合: 超音波による有機溶媒中の重水素の核融合で 再現性が低い → バブル核融合
C 焦電核融合: コッククロフト−ウォールトンの時代から見出された焦電結晶による加速電場を用いた重水素の核融合、現在も中性子源として用いられている。 → 焦電核融合、 中性子発生管
D フューザー核融合装置: 二重鳥かご状電極で反応容器内に瞬間的に高温状態を作る。瞬間的なので、試験的な中性子発生装置用。 → フューザー核融合装置、 子供でも作れた
2. マイクロバブル効果の理論: ( → (参考) 産業総研 )
水中の気泡が 直径10μm以下になると、気体−液体界面の表面張力が大きく影響してきます。古典物理学で広く知られている法則をもとに、マイクロバブルの性質を考察してみましょう。
(1) 泡の自己加圧効果:
何といっても最も特徴的なのは、気泡自身が持つ 自己加圧効果です。
この式によれば、(空気に対する)水の表面張力が 72.75(mN/m)なので、
φ10μmの気泡で 凾o=0.3気圧、 φ1μmで 3気圧 程度となります。水銀(476mN/m)では6.5倍のように、パラジウム金属内の(固体の)表面張力ではかなり大きく見積もられます。
(2) 自己圧壊作用:
(1)の自己加圧効果により、マイクロバブルが消滅するときには、内部の圧力と温度が非常に大きくなります。もし原子直径(0.1〜0.3nm)の10倍まで圧縮されると、1nmまで圧縮されたとして、凾o
= 4×0.07275/(1×109)/(1.013×105) = 2800(atm) となり、容易に 数千度、数千気圧の”ホットスポット”ができます。
このような場は、過飽和溶液がバルクに放出されたときに生成するマイクロバブルが、超音波や、DMPO(5,5-ジメチル・ピロロリン・N・オキシド、スピントラップ剤)や、強酸などによって圧壊し、電子が偏って反応性に富む”フリーラジカル”が生成します。(水素や酸素の場合、H.=P+、O:、など) このフリーラジカルが特殊な化学反応を引き起こして、準安定状態のいわゆる
(H−H−O)n 型の クラスター・ガス(n=4〜24)を作ると考えられます。 同時に、核融合反応も進行していくと考えられます。
(3) 気泡の帯電:
水中の気泡の界面は負(−)の電荷に帯電しています。 この帯電効果は重要で、界面に向かって対イオン(溶質のアルカリイオン(+)など)が殻状に集められて分布します。界面から水分子1、2層の面(すべり面)における電位を
ゼータ電位(ζ電位)と呼び、これはコロイドの電気泳動と同様に測定されます。(スモルコフスキーの式 ↓)
気泡の径φ10〜60μmで、 純水で ζ= −30〜−40mV、 pH8〜10(弱アルカリ)で−100mV、 pH4 0V、 pH2.5〜3 +20mV のように測定されています。
気泡が収縮すれば電位は大きくなり、アルカリイオンも強力に集められ、内部のプロトンと核融合反応する可能性が出てきます。
(cf. パラジウムは金属なので帯電効果は無く、上記の圧縮効果のみで、重水素どおしが核融合反応します。)
(4) 気泡の上昇速度:
気泡の上昇速度は ストークスの法則より見積もられます。 水の動粘性係数
ν は、10.07(20℃)、6.49(40℃)、4.77(60℃)×10-7(m2/s)より、ν=8.90×10-7(m2/s)として、
気泡がφ=10μmの場合、V=0.37(cm/分)のゆっくりした速度になります。
産総研の、ガス加圧溶解・バルク噴射型(加圧溶解槽は別)の報告では、φ数10μmとなって、約1分で下1/3くらいが透明になり、4−5分で全体が透明になります。これにより、気泡の大きさを推定することができます。
さらに、もっと細かい”ナノバブル”の場合は、気泡の寿命が延びて、透明、しかし その状態がいつまでも変わらないようになります。オゾンのナノバブル水(KMnO4のため紫色で、希薄〜5ppm、長期間安定)は有名で、消毒・殺菌剤、歯科用に用いられます。(むしろ、このような安定状態 ・・・ 負の電荷によって互いに反発し合って安定 ・・・ になると、ラジカル反応や さらに核反応にはあまり期待はできません。)
* マイクロバブル: 自己加圧効果により泡が潰れて溶液に溶け込み、瞬間的にはある程度は高温・高圧になる△
⇔ ナノバブル: 帯電により、潰れないで 互いに反発し合い 安定×
→ しかし、高濃度のアルカリ陽イオン(K+など)がある場合、帯電は打ち消しあって、ナノバブルであっても潰れて ホットスポットができます。ナノバブルなので、かなりの高温・高圧となり、この陽イオンとプロトンが容易に核反応するまでなります。(3.図 ↓)
3. オオマサガス発生のメカニズム:
マイクロバブルの作り方は、いかにガスが水に溶ける 過飽和の状態にして、それをバルクの水中に放出するかにかかっています。気泡が大きいと反応しない、小さいと液相から分離しにくい、というジレンマがあります。
その解決策の一つの方法として、電解による初期の状態は、水素、酸素が過飽和状態になっていると推定されます。電極では、できた原子状の(=発生期の)水素、酸素が 分子状に結合しないうちに、すばやくバルクの水中に放り出す必要があります。これを可能にするのが、振動板方式の電極です。
日本テクノ(株)では、メッキ槽の攪拌装置を製造していますが、振動板方式で行っています。洗剤を入れても泡が立たず、槽全体が均一に攪拌されます。 この振動板の表面では、流体が非常な高速になっていて、電解生成物を瞬時にバルクに吹き飛ばし、電極そのものがポンプになっています。
(cf. そうでないやり方 ・・・ ブラウンガス などの固定電極(+ 制御電流を流す)方式 では、H−H−O
の生成が不完全で、H2、O2 が大量に混合して、相変わらず”爆鳴気”になっている)
(オオマサガス発生のメカニズム):
@ 水中に放出された発生期の物質(異常に高い化学反応性をもつ)は、過飽和と 気泡生成を繰り返し、途中で生成した気泡の圧力によって反応して、(H−H−O)n 型の クラスター・ガス(n=4〜24)をつくり上げ、これは分子量が大きいので水には溶け込まず、その(反応済みの)気泡が成長して大きくなっていき、十分な浮上速度によって液相から連続的に分離されます。
A この(H−H−O)nガスは、燃焼時に 与えた電解エネルギーの約5倍のエネルギーを放出します。これは発生するガスの量が増えるからです。 マイクロバブルが強度の自己圧壊をするならば、電解槽バルクの中で気泡が消滅する際に
核融合反応が起こり、そのエネルギーを吸収して(より多く)生成すると考えられます。核融合によって生じたガンマ線によってまわりの水分子が電離して、(これがまわりの溶液が飽和しているのですぐに気泡となり、)ますます(H−H−O)nを生成します。 因みに、電解槽の液温の 著しい上昇は無く、効率良くガンマ線を物質に吸収していると思われます。
結局、水溶液に導電性を与える K+(カリウムイオン)などのアルカリ金属イオンが”原子力燃料”(少しずつ消耗)となって、p+(=水素イオン)と反応して ガンマ線を放出することが、5倍ものエネルギーを作り出す原動力となると考えられます。 これは、溶質に、各種アルカリ金属イオン(Li → Be、 Na → Mg、 K → Ca、 Rb → Sr、 Cs → Ba)を添加しても同様と思われます。 Cs(セシウム)が元素転換してBa(バリウム)になることは、上記のとおり実証済みです。 ・・・ 事実上、「原子力機関」
強攪拌の方法は、導電性のプロペラでもできると思われますが、オオマサガス発生装置のように、複数の
向きを若干変えた”チタン板ばね”を機械的に振動させるのが合理的と思われます。(* これは、メッキ槽
攪拌機のノウハウです)
発生ガスに H2、O2 が混じって”爆鳴気”にならないように、気泡の発生具合の厳しい管理が要求されます。 ・・・ 実用的には、あまり多くのガスを蓄積せず、発電機等でただちに消費してしまうシステムが推奨されると考えられます。
* チタン電極板の振動:
( → 酸水素ガス(オオマサガス) )
● 結局のところ、マイクロバブル、ナノバブルを効率良く 安定的に作り出す、流体攪拌装置のノウハウが、装置上の鍵となります。
また、表面張力を増すために 結構高濃度のKOH水溶液(5%〜30%)を用いています。
(参考) 特許情報:(オオマサガス発生装置の2つの国内特許、他に外国特許(米、中国、シンガポール、ヨーロッパ))
1. 特許番号(3975467): 2. 特許番号(4076953):
(参考文献) 「地球を変える男?放射性セシウムをプラチナに」 大政龍晋
著 Amazon.com Int'l Sales, Inc. 2014 3
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